令和8年6月施行・新規指定への応急的報酬特例とB型区分改定Q&A解説
目次
厚生労働省は令和8年3月31日、令和8年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A VOL.1を公表しました。令和8年6月1日以降の新規指定事業所への応急的報酬単価の詳細な適用範囲、就労継続支援B型の区分見直し手続き、就労移行支援体制加算の算定実績確認の運用など、実務上の重要論点が32問にわたって整理されています。
「新規指定」に適用される応急的報酬単価の基本的な仕組み
応急的な報酬単価は、令和8年6月1日以降に新規指定を受けた4サービス(就労継続支援B型、共同生活援助〔介護サービス包括型・日中サービス支援型〕、児童発達支援、放課後等デイサービス)の事業所に適用されます。一定程度引き下げた基本報酬であり、令和9年度報酬改定までの間のみ適用される臨時応急的な措置です。
対象となるのは「新規指定」に限られます。従たる事業所の追加・単位追加・定員増加・住居追加(グループホームのサテライトを含む)は対象外です。グループホームのサービス種別変更は届出で足りるため対象外ですが、就労継続支援A型から同B型への変更は新規指定を要するため対象となります。
事業譲渡や吸収合併等で令和6年6月21日付国事務連絡に基づく指定手続の簡略化を行った場合も対象外です。共生型障害福祉サービス・基準該当型サービス、および(旧)医療型児童発達支援から児童発達支援への事業変更に伴う新規指定についても、応急的な報酬単価は適用されないとされています。
重度障害児者等への配慮措置:利用者単位か事業所単位かで変わる適用範囲
重度障害児者に対応する一定の加算等を1日以上算定している場合、その算定月全体について応急的な報酬単価の適用対象外となります。「月に1日でも算定があれば、その月全体が対象外」という月単位の判定です。
対象外になる範囲が加算によって異なります。就労継続支援B型・共同生活援助では、重度障害者支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)・医療的ケア対応支援加算・医療連携体制加算(Ⅳ)は「利用者単位」で対象外となります。視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)・高次脳機能障害者支援体制加算は「事業所全体」が対象外となります。
離島・中山間地域の配慮措置は、居宅介護等の特別地域加算の対象地域に事業所所在地がある場合に適用されます。公募によりサービス不足地域に設置する事業所も対象外です。自治体から経済的支援を受ける事業所も対象外となりますが、サービスの質・人材確保のための補助のみでは要件を満たさないとされています。
就労継続支援B型の区分見直しと就労移行支援体制加算の変更点
令和8年6月施行のB型基本報酬区分見直しは、令和5年度以降に指定を受けた事業所が原則として対象です。ただし、令和5年度から令和6年度にかけて区分が変わらなかった、または下がった事業所は対象外となります。システムでの自動判定が困難なため、事業者の自己申告で対応することとされています。
届出は2段階です。令和7年度実績に基づく届出は令和8年4月中に、改定後区分に係る届出は令和8年6月中に行うことが基本です。事務負担軽減のため、令和8年4月に「4月・5月分」と「6月以降分」を同時提出することも認められています。見直し対象外の事業所は区分変更の届出は不要ですが、令和6年3月・4月の基本報酬区分が分かる書類等の根拠書類を提出し、指定権者の確認を受ける必要があります。
就労移行支援体制加算については、同一事業所だけでなく他の事業所における過去3年間の算定実績がある利用者についても算定不可であることが明確化されました。確認対象は体制届を受理した年度の前年度末日から起算して3年間です(例:令和8年4月受理の場合は令和5年度〜令和7年度が対象)。都道府県知事または市町村長が適当と認める場合は除かれます。
現場への影響と今すぐ確認すべきポイント
ぼくが今回のQ&Aを読んで最も感じたのは、「対象外の判断軸が複数あって組み合わせが複雑」という点です。新規指定かどうか、加算が利用者単位か事業所単位か、自治体補助の性質はどうか——細部を確認しないと算定誤りにつながるリスクがあります。自事業所がどの類型に該当するか、今の段階で整理しておくことをぼくは強くお勧めします。
就労継続支援B型を運営している事業所の方は特に注意が必要です。区分見直しの自己申告は相当な事務負担になりますが、令和6年3月・4月の基本報酬区分が分かる書類を今から手元に揃えておくだけで、6月の届出がスムーズになります。指定権者への確認も早めに動いておくことをぼくはお勧めします。
就労移行支援体制加算を算定している事業所は、「他の事業所での3年以内の算定実績がないか」を利用者ごとに確認する仕組みが必要になります。あなたの事業所では、この情報を確認できる体制がすでに整っていますか?支援計画の確認プロセスにこの視点を組み込む、今が良い機会です。
まとめ:3つの変更点、それぞれの準備を今から
令和8年度Q&A VOL.1は、6月施行の3つの制度変更について詳細な解釈を示しています。新規指定事業所は応急的報酬単価の対象・対象外の確認、既存のB型事業所は区分見直しの届出準備、就労移行支援体制加算を算定している事業所は3年間の算定実績確認体制の整備が、それぞれ急務です。
Q&Aの原文には別添資料や別紙として詳細な様式例・手順書も示されています。自事業所の状況に照らし合わせながら、一つひとつ確認していきましょう。今できる準備を着実に積み重ねることが、6月以降の運営を守ることにつながります。