障害福祉の人員欠如特例、厚労省Q&Aで起算点と求人要件を明確化
厚生労働省は令和8年5月28日、障害福祉サービスにおける「やむを得ない事情での人員欠如の特例的な取扱い」に関するQ&Aを発出しました。起算点や求人活動の要件など、実務で判断に迷いやすい論点が3問にわたって整理されています。
「やむを得ない事情」に該当する具体例と特例の位置づけ
今回のQ&Aは、令和8年度報酬改定に伴う留意事項通知の改正を受けて発出されたものです。対象は、突発的で想定が困難な事象によりやむを得ない事情が生じた場合に適用される、人員基準欠如への特例的な取扱いです。
Q&Aでは「やむを得ない事情」の具体例として、①職員または家族の突発的な体調不良等により1か月を超える不在が見込まれる場合、②職員の自己都合による急な離職が複数重なった場合、の2つが明示されました。
この特例は「1年に1回に限り」適用できると定められており、今回はその1年の起算点と求人活動の要件が具体的に示されました。
「1年に1回」の起算点と求人活動に求められる要件
1年の起算点について、Q&Aは「人員欠如の発生が生じた日の属する月の翌々月の初日から起算する」と示しました。たとえば5月に人員欠如が生じた場合、7月1日がその起算日となります。
求人活動については、公共職業安定所(ハローワーク)または都道府県ナースセンター・福祉人材センター等への求人申込みが必要とされています。加えて、自社ウェブサイトでの採用情報公表も「積極的に行うことが望ましい」とされていますが、自社ウェブサイトを保有していない場合はこの限りではないと明記されました。
また、求人内容については「短期的な欠員の補充のためだけでなく、長期的に安定的な人材確保を図る観点から検討すべき」という視点も示されています。
現場への影響―ぼくが気になる2つの論点
ぼくがこのQ&Aを読んでまず気になったのは、起算点の計算です。「欠如が生じた月の翌々月の初日」は、何も知らないと感覚より1か月ずれます。月をまたぐタイミングで欠如が生じた場合、どの月が「発生月」にあたるかを正確に記録しておかないと、あとで起算日がずれてしまう恐れがあります。
もう一点は、求人活動の証明です。特例を受けるには実際にハローワーク等に求人申込みを行った事実が必要で、「採用活動はしていたが申込みはしていない」では要件を満たさない可能性があります。申込み日と求人票の控えは必ず手元に残しておくべきだとぼくは考えています。
実務でいま準備しておきたいこと
特例の適用を見据えるなら、まず「人員欠如が生じた日付」を速やかに記録に残してください。そこから翌々月の1日が1年間の起算日になります。この記録が、後から自治体への説明材料になります。
次に、ハローワークや福祉人材センターへの求人申込みを早期に行い、申込み日・求人票の写しをファイルに保管してください。自社ウェブサイトがない場合はオンライン公表は不要ですが、求人活動の実績記録そのものは残す必要があります。
自分の事業所では、急な欠員が生じたとき「いつ・何をしたか」を記録するフローが整っていますか?今から様式を用意しておくだけで、いざというときの対応が格段にスムーズになります。
まとめ
今回のQ&Aは、人員欠如の特例取扱いについて「1年をいつから数えるか」「どこまで求人活動が必要か」という実務上の疑問に直接答えるものです。
特例は使う場面が限られますが、使うときに慌てないよう、欠員発生時の記録習慣と求人活動の証拠保管を日頃から整えておくことが大切です。
人材確保の難しさは多くの事業所に共通の課題です。この機会に、自事業所の採用フローと記録管理を一度見直してみましょう。