障害福祉の生産性向上を報酬評価へ―厚労省が検討会を発足
厚生労働省は7月28日、障害福祉分野の生産性向上を支援するための新たな検討会を立ち上げました。約20事業所での実証研究をもとに今年度末をめどにガイドラインを策定し、生産性向上の成果を報酬で評価する仕組みの議論も行う方針です。
検討会の概要―実証研究とガイドライン策定を今年度中に
厚生労働省は7月28日、「障害福祉分野における人材確保・生産性向上に関する検討会」を発足させました。座長は吉田俊之埼玉県立大教授が務め、委員は8人で構成されます。
検討会では、20事業所程度を対象に生産性向上に関する実証研究を実施する予定です。今年度末をめどにガイドラインを策定する方針で、共通編とサービス類型別の内容で構成される見通しです。サービス類型は①訪問系・相談支援系、②施設入所系・居住支援系、③通所系、④児童系に分類され、記録や請求など各業務における取り組みを整理します。
検討会の発足は、来年4月に施行予定の改正障害者総合支援法が背景にあります。同法では、人材確保や生産性向上を通じて質の高いサービスを確保することが国と都道府県の責務として位置づけられました。
報酬評価と小規模事業所への影響―現場が注目すべきポイント
ぼくがこの検討会で最も注目しているのは、「生産性向上の成果を報酬で評価する仕組みを議論する」という点です。次期障害報酬改定の議論は別チームで進行中ですが、この検討会の結論が改定内容に波及する可能性があります。現時点で具体的な評価基準は示されておらず、どこまで報酬に反映されるかは続報を待つ必要があります。
初回の委員会から「人手に余裕のない小規模事業所への対応」が課題として挙がったことも気になります。生産性向上への取り組みが、余裕の少ない事業所にとって追加負担にならないよう、ガイドラインがどこまで現場の実態に寄り添う内容になるかが問われます。
また、委員からは「実証研究が単なる業務削減時間の計測に終わらず、ケアの充実につながったかを把握するように」との意見が出ています。「生産性向上=コスト削減」という方向だけに向かわない設計になるかどうか、ぼくは引き続き見ていきたいと思っています。
今の段階で事業所がやっておきたいこと
現時点では、実証研究の対象事業所の選定基準や参加方法は明らかになっていません。詳細は続報を待つ必要があります。
ぼくが今できることとして考えているのは、自事業所の業務フローの棚卸しです。記録・請求・シフト管理など、どの業務にどれだけ時間がかかっているかを把握しておけば、ガイドラインが出たときに照らし合わせやすくなります。
「生産性向上」という言葉を、あなたの事業所ではどう定義していますか。コスト削減なのか、職員の労働環境の改善なのか、ケアの質の向上なのか。この問いに事業所内で先に答えを揃えておくと、ガイドラインが出たときの議論が格段に深まるはずです。
まとめ―続報に備えた準備を一歩ずつ
厚生労働省の新検討会は、実証研究とガイドライン策定を今年度中に進め、次期改定での報酬評価も視野に入れた動きを示しています。まだ具体的な内容は固まっておらず、現時点で言えることは限られています。
「生産性向上への抵抗感の払拭」が初回から議論に上がっていることは、制度設計側も現場の温度感を意識していることの表れだと思います。方向性が出てから動いても遅くはありませんが、業務の現状を一枚の紙に書き出すところから、今日の小さな一歩を始めてみましょう。