障害福祉サービス等情報公表制度、経営情報の報告義務と実務確認ポイント
令和7年9月1日付の改正通知により、障害福祉サービス等情報公表制度に財務状況を含む「経営情報」の報告義務が新たに加わりました。移行措置期限の令和8年3月31日はすでに過ぎており、今後は毎会計年度終了後3か月以内の定期報告が必要です。自事業所の対応状況を改めて確認しておきたいタイミングです。
「経営情報」報告が加わった背景と制度の目的
障害福祉サービス等情報公表制度は、平成30年4月に施行されました。利用者が自分のニーズに合った事業者を選べるよう、事業者が提供するサービスの内容や運営状況を都道府県知事等へ報告し、公表することを義務付けた制度です。
令和7年9月1日付の通知改正では、この制度に「経営情報」の収集とデータベース整備が加わりました。通知は、2040年を見据えた人口動態の変化や障害福祉現場の人材不足、物価上昇・新興感染症による経営影響を踏まえた支援策の検討に資するため、3年に1度の障害福祉サービス等経営実態調査を補完する仕組みとして創設されたと説明しています。
収集された経営情報は、属性等に応じてグルーピングした分析結果として毎年度公表されることになっています。
報告が求められる3区分の情報と報告単位
情報公表制度で報告が必要な情報は「基本情報」「運営情報」「経営情報」の3区分です。基本情報は法人・事業所の名称・所在地・連絡先・管理者氏名など。運営情報はサービス提供状況や個人情報保護の取り組みなど、事業所の運営実態に関する項目です。
経営情報には、事業活動計算書(損益計算書)、資金収支計算書(キャッシュフロー計算書)、貸借対照表(バランスシート)が含まれます。報告は原則として事業所単位ですが、事業所ごとの会計区分を行っていない場合などやむを得ない事情があるときは、法人単位での報告も認められています。
なお、医療・介護サービスを併せて実施していて会計区分が困難な場合は、その部分を含めて報告しても差し支えないとされています。ただし経営情報については、障害福祉サービス等事業に係る部分だけをできる限り分けて報告することが求められています。
現場への影響をどう見るか
ぼくがこの改正で注目しているのは、経営情報が「公表」されるという点です。財務状況が利用者や一般に見える形で出るわけですから、これまで外部からは見えにくかった事業所の経営実態が比較可能になります。良質な事業所が正当に評価される仕組みとしては歓迎できますが、同時に情報の正確さと最新性が問われる場面が増えることも意味します。
もう一点、ぼくが気になるのは「調査」のトリガーです。通知には、報告内容に虚偽が疑われるとき、利用者から苦情があったとき、実地指導のときなどに都道府県等が調査を実施できると明記されています。情報公表の内容が実地指導と連動して確認されうるという意識を、現場全体で持っておく必要があると思います。
調査の結果、是正命令に応じない場合には指定取消しや効力の停止という重い結果につながる可能性があります。「公表はしている」だけでなく「公表内容が事実と一致しているか」を日ごろから点検することが、リスク管理の観点でも重要です。
実務で今すぐ確認すべきこと
ぼくが最初に確認してほしいのは、経営情報の報告が完了しているかどうかです。移行措置の期限(令和8年3月31日)はすでに終了しています。会計年度終了後3か月以内が通常の期限ですから、未提出のまま時間が経過していないか確認してください。
次に、基本情報の更新状況です。名称・所在地・電話番号・ホームページなどの連絡先情報は、変更があったときに随時報告することが求められています。担当者の異動や電話番号の変更があったときに更新が漏れていないか確認しましょう。事業所内の情報更新フローを整えていますか?誰が・いつ・どの項目を確認・更新するかを明文化しておくと安心です。
また、新たに指定を受けた事業所は、指定を受けた日から1か月以内に基本情報の報告を行う必要があります。複数サービスの新規指定を検討している場合は、報告期限のスケジュール管理にも注意してください。
まとめ
障害福祉サービス等情報公表制度は、利用者の選択を支える基盤であると同時に、事業所の透明性を示す場でもあります。令和7年9月の改正で経営情報の報告が加わり、移行措置も終了した今、制度は新たな定常状態に入っています。
「出しているはず」で終わらせず、報告内容が最新かつ正確であるかを定期的に点検する体制を整えることが、これからの事業所運営の基本の一つになっていきます。
まず今日、情報公表システムにログインして、自事業所の最新の報告内容を確認することから始めてみましょう。