令和8年6月から訪問系障害福祉の国庫負担基準が改定——単位数と仕組みを整理する
令和8年6月から、訪問系障害福祉サービスの国庫負担基準が改定されました。厚生労働省が公表した資料によると、居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護・重度障害者等包括支援の全区分で単位数が引き上げられています。
令和8年6月から全サービス・全区分で単位数が増加
令和8年度障害福祉サービス等報酬改定の一環として、国庫負担基準が令和8年6月から見直されました。令和6年度基準との比較では、すべての区分で単位数が増加しています。
居宅介護の例では、区分1が3,100単位(令和6年度)から3,170単位(令和8年度)、区分6が25,500単位から26,040単位へと引き上げられました。括弧内に示す通院等乗降介助ありの場合も同様に増加しています。重度訪問介護は区分6が62,050単位から63,040単位へ、重度障害者等包括支援(区分6)は96,480単位から96,870単位となっています。
各区分の実際の負担額は、単位数に級地区分ごとの1単位当たり単価と各市町村の給付率を乗じて算出します。特別地域加算の対象地域(離島等)に居住する利用者については、算出した額にさらに15%を乗じた額が適用されます。
「個人の上限」ではなく「市町村全体の精算基準」——この違いを押さえておく
ぼくがこの資料で改めて重要だと感じたのは、国庫負担基準の「仕組み」そのものへの理解です。国庫負担基準は利用者一人ひとりへのサービス支給量の上限ではありません。市町村に対する国庫負担の精算基準の上限であり、市町村全体の支給量合計を基に算定されます。
資料に示されたA市の例では、6名の利用者に対する国庫負担基準の合計が133,900単位であるのに対し、実際のサービス支給量合計は115,400単位でした。個人ベースでは基準を上回る利用者がいたとしても、市町村全体の合計が基準内に収まっていれば国庫負担の対象となります。
これはつまり、サービス利用が少ない利用者の「余裕分」を、より多くのサービスを必要とする利用者に充てることができる柔軟な仕組みです。支給量をめぐって自治体から「国庫負担基準があるため」という説明を受けた際は、市町村全体の合計として基準を超えているのか、個人の問題なのかを確認することが重要だとぼくは考えています。
事業所として今できること——支給量の協議に備えた理解を
ぼくが今回の改定で注目しているのは、単位数の増加そのものより「市町村が国から受け取れる財源枠が広がった」という点です。特に重度の区分(区分6)や重度障害者等包括支援のように絶対値が大きい区分では、引き上げの財源効果が相対的に大きくなります。
この仕組みを正確に理解しておくと、支給量をめぐって市町村と協議する場面でより具体的な対話ができます。市町村がサービスの支給量を抑える理由には複数の要因がありますが、国庫負担基準の仕組みと今回の引き上げを把握したうえで臨むことで、利用者に必要なサービスを確保するための根拠ある話し合いにつながります。
あなたの事業所で支援している利用者のサービス量が、給付決定のプロセスで不当に制限されていないか——一度、現状を点検してみる良い機会ではないでしょうか。
まとめ
令和8年6月から、訪問系障害福祉サービスの国庫負担基準が全区分で引き上げられました。重要なのは、これが個人のサービス上限ではなく、市町村全体の精算基準であるという点です。
単位数の増加は、市町村が活用できる国庫負担の枠が広がることを意味します。支給量の協議にあたっては、この仕組みの正確な理解が利用者の生活を守る力になります。
制度の仕組みをチームで共有するところから、一緒に始めていきましょう。